“遺念火“というのは、ひとだまの事です。死者の遺念が火となって現れるというものです。
僕はYouTubeで「沖縄の都市伝説」という配信もやっているんですが(1クールに1回ぐらいの配信頻度ですが)、沖縄の事を調べていると「この口承って、昔あった都市伝説と繋がるんじゃない?」という事がたまにあります。
今回も繋がったんですが、昔あった都市伝説は今でも実在する場所で、名前を出すと迷惑がかかるの人がいるので、口承だけで勘弁してくださーい!!
ウガンタナカ
まず“ウガンタナカ“ってあまり聞き覚えのない人が殆どだと思います。
僕も以前読んだ本にウガンタナカって名前が出てきて、その時はさほど気に留めなかったんで“名前とまつわる話は何となく知ってる“程度でした。
そしたら、うるま市の文化財、兼箇段ジョーミーチャー墓(兼箇段ウテー)の紹介文に
(前略)従事、道行く人々にとっては「恐怖の場」として知られていた所でもあり、浦添ようどれ、勝連城跡北側の南風原から西原を結ぶ坂道ウガンタナカと相並ぶほどに道行く人々に恐いところとして知られていました
うるま市の伝統文化 うるま市 教育部 文化財課
※兼箇段ジョーミーチャー墓の詳しい説明はうるま市の“うるま市の伝統文化“のページを参照(笑)
って出てきたので、“恐怖の場“として例えられるぐらいなら、「きっと都市伝説に使えるかもしれない」という邪な気持ちで調べてみました。最初はね!(笑)
そしたら、実しやかに噂されてた都市伝説に繋がっちゃったんですよ。
気付いたら真剣に調べてました(笑)
さ、ということで、地元の人に恐れられていたウガンタナカには“遺念火“の口承がありました。
ウガンタナカに残る口承
昔、夫が畑で大豆や麦などを作り、妻が収穫したものを首里に持っていき、それを売って生活をしていた仲の良い夫婦がいたそうです。
妻は朝早くに家を出て、夕方には帰ってくるんですが、夫は妻の帰りを待ちわびて、ウガンタナカの坂まで迎えに行くのがいつもの事だったそうです。
ある日、いつものように出かけた妻を迎えに行こうとする夫に、見知らぬ男が「最近、首里の役人と田舎娘が仲良くなってると噂があるが、お前の嫁の事だったんだな」と冗談を言います。
すると夫は冗談を真に受けて、首をくくって死んでしまいます。
妻の方は、その日に限ってなかなかモノが売れず、いつもより帰りが遅くなってしまいます。
松明を灯し急足でウガンタナカの坂にさしかかったとき、人影が見えたので灯りを照らすと、なんとそれは変わり果てた夫でした。
夫の亡骸にすがりながら「ひとりで生きて行くことはできない。死んであの世で一緒になろう」と、妻も首をくくってしまいます。
それから、ウガンタナカの坂では夕刻になると2つの遺念火が上へ下へと行ったり来たりするのが目撃されるようになりました。
ウガンタナカの場所
現在のウガンタナカは、“うるま市の文化財のページ“による説明だと「勝連城跡北側の南風原から西原を結ぶ坂道」ということです。
この説明だと、地理に明るくない人だと確実に南風原町と西原町をつなぐ道路だと思いますよね(笑)
今の県道16号線の事で、世界遺産勝連城跡の前を通る道って言えば分かりやすいかなぁ。
勝連にも南風原って地名と西原って地名があって、勝連城から見て南にある南風原と、北にある西原をつなぐ道路。
なぜに北が西なのかはこの記事を見てね(笑)→沖縄の難読地名
おわり
それにしても。
ウガンタナカのお話は怖いと言うより、悲しいお話ですね。
2年前ぐらい、遺念火の口承があるなんて知らずに、夜中にウガンタナカの坂道をジョギングしてた事があります。
その時、前に丸い光があるのは目撃しましたけど、近づいて見たら自転車のライトだったって事はあります。
その時に遺構念火の話を知ってたら怖かったはずね(笑)
でも坂道の途中でやっぱこの道やーめよって引き返した覚えがあるんだけど、何でだったのか理由までは覚えてないなぁ。