沖縄のサトウキビ(ウージ)

沖縄でサトウキビの事をウージと言います。
そんなサトウキビ、砂糖や沖縄特産品の黒糖の原料として有名です。
沖縄では結構育ててる農家さんが多いですし、実際沖縄で一番多く育てられてる農作物がこのサトウキビで、沖縄県の畑面積の約半分を占めてると言われてます。
今回はそんなサトウキビが、どうやって収穫されてるのかを実際に僕が体験したので紹介します。



サトウキビの収穫時期

サトウキビは春に植えてその年の冬に収穫する農家と、夏に植えて翌年の冬に収穫する農家の人がいますが、どちらも収穫時期は冬です。
沖縄では1月頃からサトウキビを荷台いっぱいに積んだトラックが町中を走る姿が見られるようになります。

こんな感じの、ダンプカーの荷台におっきな囲いをつけたようなトラックです。
このトラックに収穫されたサトウキビを積んで、そのまま製糖工場へと運んでいきます。
この時期になるとトラックから落ちたであろうサトウキビの切れ端が、行き交う車にペシャンコにされた悲しい姿も道路で良く見かけるようになります(笑)

サトウキビの収穫体験



さ、そんなサトウキビですが、まずはカマを使って余分な葉っぱを取り除いていきます。
そして先端部分を切り落とします!(これは苗として使う為です)
すると、こんな状態になります。

この状態になったサトウキビを、小さなオノのような物を使って根本近くから切り倒します!!
そして倒したサトウキビを適当な本数集めて、ヒモで束ねていきます。

この束ねられたサトウキビを、畑の端っこ(トラックが積みやすい場所)まで担いでいきます。
この時注意しないといけないのがふゆーして(面倒くさがって)いっきに沢山のサトウキビを束ねると、重くてもちかんてぃします。(持てなくなる)
自分の場合は分業制で、親父が草を刈って束ねる人、自分が担ぐ人だったんですけど、親父が自分が担がないのをいいことにふゆーして多めに束ねられてたんで地獄でした(笑)

こんな感じで道路に面してる場所まで持っていって、一箇所に集めて重ねていきます。
この時、トラックが積むときに吊り上げられるように、下にはワイヤーが敷かれていてその上にサトウキビを重ねていってます。

見えにくいんですが、真ん中のところに端っこが輪っかになったワイヤーが敷かれています。
トラックに積むときはこのワイヤー使って吊り上げるんですけど、ワイヤーを敷くのを忘れて積み上げた日には目も当てられません(笑)

そして重ねるときの注意が、1列目は左右どちらかに向きを揃えて置いていったら、次の2段目は1段目と反対の向きで重ねていきます。
で、サトウキビって先端が曲がってるんですけど、これも手前に向くように揃えて積んでいきます。
これを繰り返して大体胸の高さぐらいまで積み上げたらその山は終わりです。
あまり多く積むとトラックに吊りあげる時に持ち上げきれなくなっちゃいます!

ここまできたら、あとは畑のサトウキビが全てなくなるまで繰り返すだけ。
途中で休憩しながらサトウキビをかじったりして怒られたりして楽しみながらやります。
当たり前ですけど、かじると甘いです(笑)
かじる時は、周りの皮をカマで切って中の芯の部分をかじってチューチュー吸うと甘い汁が味わえます。
全て手作業なんでかなり大変な作業になるんです。

収穫した後は

収穫して一箇所に集めたあとは、トラックが製糖工場に持って行ってくれるのを待つんですけど、実はこのトラックが回ってくるのには順番があって、自分の番が来るまで待つしかないんですよ。
なので、サトウキビやってる人に聞いたらみんな「いついつまでには出さないといけない」みたいな言い方するんですけど、これは「その日にトラックが積みに来るから、その日までには収穫して道路に面した場所まで出しておかないといけない」という意味になります。
でも大体トラックが予定の日より遅れてくるんですけどね(笑)

これはウチナータイムでもなんでもなく、この時期一斉にサトウキビの収穫をしてて製糖工場も24時間フル稼働してるんですけど、その無理がたたって工場側にトラブルが起こって遅れます。
うちも今年は4日遅れると言ってました。

でもこの収穫したサトウキビ、何日も置いてて大丈夫なの?と思いますよね。
そこなんです。
サトウキビは収穫して置いてると、日光に当たったりすると水分が抜けていきます。
すると、重さで値段が決まるのにそれだと困りますよね?
そんなとき、うちの家系では積み上げたサトウキビの束に、日光が当たらないように刈り取った枯葉を被せていきます。
実際これが効果あるのかはわからないんですけど、オジーの代からずっとやってます。
なので刈り取った枯葉もここで使うために束ておいてるんです。
絞り汁からは砂糖が作られて、絞り汁から取り除かれたとうみつはバイオエタノールの原料や家畜の餌になって、絞りカスは製糖工場の燃料や肥料になって・・・
まさにサトウキビに捨てるとこ無し!!

サトウキビの歴史

大変な作業があって美味しいグラニュー糖や黒糖が手に入るんですけど、最近は「ハーベスター」ってゆう機械を使って刈り取る人も増えてきたそうです。
実際サトウキビで有名な南大東島は、サトウキビ畑の規模がかなり大きいので、手作業は無理なので収穫のほとんどをハーベスターでやってるそうです。
自分の友人に南大東島出身の人がいて、島でサトウキビずっと手伝ってたって言うからウージトーシーの加勢お願いしたんですけど、「初めて担いだ」ってひーこらしてました(笑)
親父はそれを知らずに「やっぱり大東の人はなとーさー!(できるやっさー)」って褒めてましたけど。

今では沖縄でいちばん栽培されてるサトウキビですが、元々は稲作の方が盛んだったんですけど、琉球時代、日本に砂糖が高く売れるってゆうことでサトウキビをやる人が増えて、今に至ります。

サトウキビで作った大東島のラム酒とか、自分もずっと欲しくて最近手に入れたウージ染めのかりゆしとか、沖縄のサトウキビは世界に誇れるサトウキビなんじゃないでしょうか。


最後に
サトウキビを担いでる姿があまりにも似合いすぎて、自分が芸人って事をすっかり忘れてた(笑)

かいたひと
ゴリラ勇介

沖縄で「ゴリラコーポレーション」というコンビで芸人をやっています。
普段は漫才やコント、新聞での執筆活動、ラジオで喋るのも聴くのも好きで、ラジオ沖縄では「people wave α」という番組もやりつつ、タイムテーブルでラジオコンシェルジュを執筆しています。RBCiラジオでも「只今いきものんちゅ」という番組をやっています。

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